14 3月 2024

もう一つの差押え:外国手続のためのフランスの保全的差押え



本ブログの読者の多くは、フランスの侵害証拠差押え(saisie-contrefaçon)をご存じでしょう。これは、侵害が疑われる製品およびそれに関連するすべての書類を差し押さえるものですが、差押え(saisie)から1か月以内に本案の呼出状を送達することが求められます(たとえばこちら)。同じ読者のうち、保全的差押え(「saisie conservatoire」)について耳にしたことがある方は、おそらく少ないでしょう。これは、侵害がない場合でも同様の措置の許可を可能とするものであり、差押えから1か月以内の呼出状送達を必要としません。実際、フランス民事訴訟法典第145条によれば、「訴訟の解決が左右され得る事実の証拠を、あらゆる訴訟に先立って保全し、または確立する正当な理由がある場合には、法的に許容される証拠調べの措置を、利害関係を有するあらゆる者の申立てにより、一方的申立てまたは仮処分手続によって命じることができる」とされています。


保全的差押え(saisie conservatoire)と訴訟前の証拠保全措置(mesures in futurum)

フランスにおける証拠の保全的差押えは、民事訴訟法典第145条に依拠しています。同条は、紛争の帰趨が左右され得る事実の証拠を保全し、または確立する正当な理由がある場合に、あらゆる訴訟に先立ち、法的に許容されるあらゆる証拠調べの措置を命じることを認めています。この措置は、同法典第493条に基づく相手方に通知しない申立て(一方的申立て)によるか、第834条および第835条に基づく仮処分手続によって得られます。命令は執行官(commissaire de justice)によって執行され、裁判所が定める範囲内で、施設の立入検査、ファイルの複製および証人の聴取に及ぶことがあります。

分析を方向づける要件は三つあります。申立人は正当な理由を示さなければならず、これは蓋然性があり特定された紛争の存在を前提とします。措置は、比例性を保つのに十分なほど限定的に定められていなければなりません。そして、裁判所が認めない一般的な証拠漁り(fishing expedition)に当たるものであってはなりません。相手方は命令の撤回(rétractation)を申し立てる権利を保持しており、そのため申立てにおいては、申立人に有利でない要素も含め、申立人の立場を公正に開示しなければなりません。

外国の手続のための保全的差押えの活用

この手段が魅力的である理由は、フランス知的財産法典L.615-5条との対比にあります。侵害証拠差押えの後には、同法典が定める短い期間内に本案訴訟を提起しなければならず、これを怠ると差押えは無効となります。第145条に基づく保全的差押えにはこれに相当する失権がなく、そのため、フランスで収集した証拠を、他国で審理される紛争のために用いることができます。また、二つの手段は相互に排他的なものでもないため、特許権者は、侵害事件についてはL.615-5条に依拠し、不正競争のような特許の範囲外の事実については第145条に依拠することができます。

起案にあたっては、二つの点に注意が必要です。秘密情報は、営業秘密の選別が司法の監督の下で行われるよう、命令自体において封印保管(séquestre)に付すべきです。また、外国での利用予定を明示すべきです。1970年3月18日の外国における証拠の収集に関するハーグ条約が並行する途を提供し得るものであり、他方の裁判所はその検討がなされていることを期待するからです。さらに、命令は求める書類を類型別および期間別に特定すべきです。範囲が広すぎる請求は、申立ての却下や事後の撤回の通常の理由となるからです。

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Philips v. Thales

しかし、PhilipsとThalesの間の最近の事件は、特許訴訟においてこの種の差押えをどのように活用できるかをよく示しています(パリ司法裁判所、2022年9月13日)。本件では、FRAND交渉が不調に終わった後、PhilipsがThalesに対し、米国においてGSM規格の標準必須特許に基づく侵害訴訟を提起し、ディスカバリー手続を開始していました。Thalesは、これらの交渉におけるPhilipsの濫用的な行為を証明しようとして、主張する濫用を証明しうる書類を回収するため、フランスにおいてsaisie conservatoire(保全差押え)を行う許可を得ました。その後、PhilipsはThalesに対し、この命令の撤回を求める訴えを提起しました。この請求は裁判官により棄却されました。

本決定は、裁判官が、saisie conservatoireが認められ、侵害証拠差押え(saisie-contrefaçon)(侵害証拠差押え)よりも優先されうる要件を明らかにしている点で興味深いものです。申立ては、対審原則からの逸脱を正当化する事情を特定しなければなりません。本件では、求められた書類が主として電子メールのやり取りからなり、したがって容易に破棄されうるという事実に、その正当化の根拠がありました。

また、申立ての時点で並行するディスカバリー手続を開示しなかったことは不誠実とはみなされなかった点にも留意すべきです。侵害証拠差押え(saisie-contrefaçon)とは異なり、saisie conservatoireは、すべての事実の提示を求めるものではなく、対審原則からの逸脱を正当化する事実のみの提示を求めるものだからです。

この例は、対審原則からの逸脱を正当化できる限り、saisie conservatoireを侵害証拠差押え(saisie-contrefaçon)の代替手段として検討しうることを想起させるものです。このような代替手段は、差押えを受けた当事者を差押え実施から1か月以内に呼び出すことを要せず、撤回の理由も侵害証拠差押え(saisie-contrefaçon)の場合より少ないと思われるだけに、いっそう適切に見えるかもしれません。ただし、後者とは異なり、saisie conservatoireは、常にフランスにおけるいかなる訴訟よりも前に行われなければなりません。

Philips v. Thales

However, a recent case between Philips and Thales provides a good illustration of the use that can be made of this kind of seizure in patent litigation (Tribunal judiciaire de Paris, 13 September 2022). In this case, infringement actions for GSM standard essential patents and a discovery procedure had been initiated in the United States by Philips against Thales after unsuccessful FRAND negotiations. Thales, which wanted to prove the abusive behavior of Philips during these negotiations, was authorized to carry out a saisie conservatoire in France to recover documents that could prove the alleged abuse. Philips subsequently sued Thales to have the order retracted. This claim was dismissed by the judge.

The decision is interesting in that the judge specifies the conditions under which a saisie conservatoire may be admitted and preferred to a saisie-contrefaçon. The request must specify the circumstances that justify the derogation from the adversarial principle. In this case, the justification lay in the fact that the documents sought consisted essentially of e-mail exchanges that could, therefore, be easily destroyed.

It should also be noted that the failure to disclose the parallel discovery procedure at the time of filing the request was not considered unfair, since, unlike the saisie-contrefaçon, the saisie conservatoire does not require the presentation of all the facts but only those that justify the derogation from the adversarial principle.

This example is a reminder that the saisie conservatoire can be considered as an alternative to the saisie-contrefaçon as soon as we can justify the derogation from the adversarial principle. Such an alternative may seem all the more opportune as it does not require the seized party to be summoned within a month of the operations and the grounds for retractation seem fewer than with a saisie-contrefaçon. However, unlike the latter, the saisie conservatoire must always be carried out before any litigation in France.

Auteur : Dhenne Avocats.