28 8月 2026

フランスの侵害証拠差押えとUPCにおける証拠保全措置:選択のマトリックス

Saisie-contrefaçon française ou saisie devant la JUB : la matrice de choix
Paul Cézanne, Les Joueurs de cartes, vers 1890-1892. Wikimedia Commons, domaine public.


侵害が疑われる場面において、企業は現在、欧州で二つの証拠収集手段を利用することができます。申立てに基づくフランスの侵害証拠差押え(saisie-contrefaçon)と、統一特許裁判所における証拠保全措置です。両者は同等ではありません。選択は最初の手続に着手する前に行う必要があり、事後に覆すことは困難です。

結論は一文で示すことができます。証拠を欧州以外で用いる必要がある場合、申立人が通常依頼している産業財産権弁理士(conseil en propriété industrielle)を差押えの実施に立ち会わせる必要がある場合、またはフランスが侵害の主たる地域である場合には、フランスの差押えが最も広範かつ確実な手段であり続けます。これに対し、証拠を統一特許裁判所(Unified Patent Court、UPC)に提起される訴訟に直接用いる必要がある場合には、同裁判所における措置を選ぶべきです。本稿の以下の部分では、その理由と、それぞれの場合に準備すべき事項を説明します。

フランスの差押えが持ち続ける利点

侵害証拠差押えは、欧州の特許訴訟において依然として最も広範な証拠収集措置です。相手方に知らせることなく申立てに基づいて命じられ、その不意打ちの効果は完全に保たれます。執行官(commissaire de justice)は、記述し、サンプルを採取し、差し押さえることができ、その範囲は会計書類にも及びえます。実物の確認よりも、むしろこの点こそが措置の真の目的であることが少なくありません。

二つの特徴が、統一特許裁判所の提供する手段とフランスの差押えを明確に区別しています。第一に、特許を熟知し、何を探すべきかを心得ている、申立人が通常依頼している産業財産権弁理士の立会いが認められることです。第二に、フランスで収集された証拠は外国の手続においても提出することができ、これによりフランスの差押えは世界規模の訴訟の入口となることです。

差押えの実施を変えた二つの制約

比例性

EU法の影響のもと、裁判官は現在、措置の比例性を評価し、侵害の合理的な兆候を求めます。そのハードルは依然として低く、この要件は実務上、命令を発するか否かという原則よりも、許可される措置の範囲に関わります。実務上の帰結は明白です。申立人が実際に持ち帰ることができるものを決めるのは、審理ではなく申立書の起案です。

封印保管(séquestre)と営業秘密

2018年7月30日法律第2018-670号および2018年12月11日デクレ第2018-1126号以降、差押えを受けた者は、その営業秘密を保護するための体系的な制度を利用できるようになりました。押収された資料は暫定的な封印保管に付され、フランス商法典R.153-1条第2項は、決定の送達から1か月の期間内に、命令の変更または撤回を求め、封印保管の自動解除に異議を述べることを認めています。

この点はしばしば誤って伝えられるため、明確にしておく必要があります。期間は差押えの実施からではなく、送達から起算されます。また、破毀院は、フランス知的財産法典R.615-2条とフランス商法典R.153-1条を併せて根拠とし、暫定的な封印保管は任意的なものではないと判示しています。

その結果、長らく形式的な手続として扱われてきた封印保管の段階は、実際には、申立人が訴訟で何を提出できるかを決定します。完璧に実施された差押えであっても、封印保管の局面で適切に防御されなければ、何の価値もありません。

UPCにおける措置の意義

統一特許裁判所は、独自の証拠保全手段を備えています。本案訴訟が同裁判所に提起される場合、その利点は明らかです。証拠はそれを審理する手続の枠組みの中で収集され、その証拠能力が争われることはありません。

しかし、決定的な一点において考え方が異なります。フランスの手続は完全にex parte(一方当事者のみの手続)です。統一特許裁判所では、対審的な議論が構造的に可能であり、裁判官がそれを促すこともあります。その場合、申立人は申立てを取り下げることができますが、不意打ちの効果は失われます。この違いは手段の性質そのものを変えるものであり、単なる程度の差にとどまりません。

これに加えて、法廷地の考慮もあります。各部(division)は、これほど侵襲的な手続に対して同じ程度の習熟度を有しているわけではなく、この分野におけるフランスの経験は長い歴史を持っています。この種の措置に精通した裁判官に証拠保全の申立てを行うことは、単なる便宜上の好みの問題ではなく、結果を左右する要素です。

選択のマトリックス

状況 手段 決定的な理由
証拠を欧州以外の手続で用いる必要がある フランスの差押え 証拠の射程と外国での使用の確実性
フランスが侵害の主たる地域である フランスの差押え パリ司法裁判所の専属管轄
通常依頼している産業財産権弁理士の立会いが決定的に重要である フランスの差押え 差押えの実施中における特許の技術的な読解
不意打ちの効果が不可欠である フランスの差押え 完全に申立てに基づく手続
本案訴訟がUPCに提起される UPCにおける措置 手続の連続性と証拠能力
侵害が複数の参加国にまたがっている UPCにおける措置 措置の地理的な射程

これら二つの手段は相互に排他的なものではありません。フランスの差押えによって統一特許裁判所での訴訟を準備することができ、侵害の地理的な広がりがそれを正当化する場合には、両手段を組み合わせることを妨げるものは何もありません。避けるべきは、事後になってから決めることです。

双方の立場からの準備

措置の申立てを検討している場合。申立書を起案する前に、侵害の合理的な兆候を収集してください。対象範囲(場所、書類の種類、情報システム、関係者)を確定してください。執行官と専門家を選任してください。差押えの有効性を左右する本案訴訟のスケジュールを固めてください。法廷地は事後ではなく、事前に決定してください。

措置を受ける可能性がある場合。自社において何が営業秘密に該当し、それがどこにあるかを事前に特定してください。差押え当日の窓口となる担当者を一人に定めてください。フランス商法典R.153-1条の1か月の期間は短く、後から取り戻すことはできないことを認識しておいてください。実務上、差押えを受ける側の準備不足こそが、差押えを行う側の成功の第一の要因です。

要点

  • フランスの差押えは、統一特許裁判所における措置よりも依然として広範であり、完全にex parteの手続です。
  • 比例性は命令を発するか否かという原則ではなく、措置の範囲に影響します。すべては申立書で決まります。
  • フランス商法典R.153-1条第2項の1か月の期間は、差押えの実施からではなく、決定の送達から起算されます。
  • 封印保管が、訴訟で実際に提出されるものを決定します。
  • 統一特許裁判所では対審的な議論が可能であり、不意打ちの効果は保証されません。
  • 証拠収集の法廷地の選択は事後に覆すことが困難であり、最初の手続に着手する前に決定すべきです。

よくある質問

侵害証拠差押えを得るために侵害を証明する必要がありますか。

いいえ。自己の権利と原告適格を証明し、侵害の合理的な兆候を示す必要があります。比例性の要件は、命令の付与ではなく、許可される措置の範囲に関わります。

本案訴訟が期限内に提起されない場合はどうなりますか。

差押えは無効とされ、収集された証拠は失われます。期間は差押えの実施日から計算され、交渉の余地はありません。

差押えを受けた者は、自らの営業秘密の開示を阻止することができますか。

決定の送達から起算して、フランス商法典R.153-1条第2項の1か月の期間内に、封印保管の維持と、命令の変更または撤回を求めることができます。

フランスの差押えの後に、UPCで訴訟を提起することはできますか。

これを妨げるものは何もなく、この連携は申立書の段階から準備されます。そのためには、本案訴訟の法廷地を事前に確定しておく必要があります。

事後の対応より事前の備え

証拠収集の法廷地、執行官の任務の範囲、本案訴訟のスケジュールは一体を成しています。これらは最初の正式な手続に着手する前に、あわせて決定すべきものです。Dhenne Avocatsは、パリ司法裁判所においても統一特許裁判所においても、申立人側としてこれらの措置を準備・実施し、被申立人側としてはこれを争っています。ご相談はこちら。

本稿は、Matthieu DhenneがKluwer Patent Blogに当初発表した分析を独自に翻案し、大幅に更新したものです。

Auteur : Dhenne Avocats.