保全的差押え:外国訴訟のためにフランスで証拠を取得する方法

侵害証拠差押え(saisie-contrefaçon)は、フランスにおける唯一の証拠収集手段ではありません。立証すべき侵害が存在しない場合、あるいは証拠が他国で行われる訴訟のためのものである場合には、フランス民事訴訟法典第145条に基づく保全的差押え(saisie conservatoire)が、多くの外国の代理人が知らない手段を提供しています。
この手続により、訴訟の提起前に、一方的申立て(sur requête)に基づいて、第三者または相手方のもとでの証拠調べの措置を得ることができ、収集された文書は外国の手続で用いることができます。侵害証拠差押えとは異なり、その後1か月以内に本案訴訟を提起することは求められません。その代わり、フランスにおいてすでに紛争が係属していないことが前提となります。
法的根拠
フランス民事訴訟法典第145条は、紛争の解決がかかりうる事実の証拠を訴訟の提起前に保全し、または確立する正当な理由がある場合に、裁判官が、一方的申立てまたは仮処分(référé)により、法的に許容されるあらゆる証拠調べの措置を命じることを認めています。この規定は知的財産に固有のものではありません。まさにそのことが、問題となる不満が侵害ではなく、例えばライセンス交渉における濫用である場合に、この規定を有用な手段としているのです。
Philips対 Thales:その実証
パリ司法裁判所は2022年9月13日、まさにこの用法を示す判断を下しました。FRAND交渉が決裂した後、Philipsは Thalesに対し、GSM規格の標準必須特許の侵害訴訟と、米国におけるディスカバリー(discovery)手続を開始していました。Thalesは、これらの交渉におけるPhilipsの行為の濫用性を立証しようとし、フランスにおいて、その濫用を証明する文書を収集するための保全的差押えを得ました。Philipsは命令の撤回(rétractation)を求めましたが、裁判所はこれを退けました。
この判断からは二つの教訓が導かれます。第一は、対審原則からの逸脱の正当化に関するものです。申立書は逸脱を必要とする事情を説明しなければならず、裁判所は、求められている資料が主として容易に破棄されうる電子メールであることから、この逸脱には理由があると判断しました。第二はより意外なものです。裁判所は、並行するディスカバリー(discovery)手続に言及しなかったことは誠実義務違反にあたらないと判断しました。保全的差押えは、侵害証拠差押えとは異なり、すべての事実の説明を求めるものではなく、対審を経ないことを正当化する事実の説明のみを求めるものだからです。
侵害証拠差押えとの相違
| 侵害証拠差押え | 保全的差押え(第145条) | |
|---|---|---|
| 対象 | 侵害の証拠 | 紛争の解決がかかりうる事実の証拠 |
| 権利の要否 | 必要 | 不要 |
| その後の本案訴訟 | 短期間内に義務的、違反すれば無効 | 求められない |
| 申立書における事実の説明 | 完全な説明 | 対審原則からの逸脱を正当化する事実に限定 |
| 紛争に関する要件 | 係属中の訴訟と両立する | フランスにおけるいかなる訴訟よりも前に実施しなければならない |
| 撤回事由 | 多い | より少ない |
利用すべき場面
三つの状況において、この手段が望ましいものとなります。第一は、主張すべき権利が存在しない場合です。契約上の紛争、ライセンス交渉、濫用的行為の主張は、侵害証拠差押えの対象とはなりません。第二は、証拠が外国の手続のためのものであり、1か月以内にフランスの訴訟に踏み出すことを望まない場合です。第三は、申立書の柔軟性に関わるもので、その説明は対審を経ないことを正当化する事情に限定されます。
限界は明確であり、当初から念頭に置いておく必要があります。措置は、フランスにおけるいかなる訴訟よりも前に行われなければなりません。同一の対象についてフランスの訴訟がすでに提起されている場合、この手段は閉ざされます。
準備
正当な理由は申立ての前に裏付けておく必要があります。何を探すのか、なぜそれが存在するのか、誰のもとにあるのか、です。対審原則からの逸脱は、具体的な事情によって正当化されなければなりません。Philips事件で裁判所が認めたように、求められる資料が電子的で消失しやすい性質を有することは、その一例です。最後に、任務の範囲は侵害証拠差押えの場合と同じ要請に服します。広すぎれば撤回のおそれがあり、狭すぎれば証拠をその場に残すことになります。
要点
- 根拠:フランス民事訴訟法典第145条。知的財産に固有のものではない一般法の規定です。
- パリ司法裁判所、2022年9月13日、Philips c. Thales。
- 知的財産権は一切必要ありません。
- その後1か月以内の本案訴訟の提起は求められません。
- 収集された文書は外国の手続で用いることができます。
- 申立書は、対審原則からの逸脱を正当化する事情のみを説明します。
- 措置は、フランスにおけるいかなる訴訟よりも前に実施しなければなりません。
フランスを除外する前に検討すべき手段
フランスに所在する証拠を求める外国の代理人は、侵害証拠差押えが唯一の手段であると早々に結論づけ、権利がないことや本案訴訟の提起期間への懸念からこれを退けてしまうことが少なくありません。保全的差押えは、まず最初に検討する価値があります。Dhenne Avocatsは、これらの措置を準備・執行するとともに、防御側としてこれを争います。ご相談はこちら。
さらに詳しく
本稿は、Matthieu DhenneがKluwer Patent Blogで最初に公表した分析を、独自に翻案し大幅に更新したものです。